第15回の月例ではAI検査システムについて学びました

皆さま、こんにちは!広報担当の西川です。
今回のテーマはAIを用いた検査システムについてです。品質(Q)を確保する最後の砦である検査工程は非常に重要である一方で、そこにかける時間・コスト(D・C)は悩みどころです。特に人手不足に悩む中小製造業において、人手がかかっている検査工程を自動化できれば・・・と考える企業は多いです。
今回は株式会社フツパー様から、検査AIについて教えていただきました。フツパー様では「最新テクノロジーを確かな労働力に」をミッションとして、「不良を出さない工場」を作るべく検査AIを開発しておられます。
それでは、「AI検査システムで高速検査の実現へ」のレポートをさせていただきます。

1.今回の個人的な感想

製造業の検査工程へのAI活用についてはいろいろな製品も出ており良く耳にする話ではありますが、実際に導入するにあたっての課題も知ることができる内容でした。とにかく自動化すればよいということではなく、品質とコストのバランスも重要。またAI以外の方法が適している場合もある。初期投資(時間とお金)やランニングコスト、AIによる検査判定のしくみ等を理解した上で、最適なQCDの実現を考えることが重要だと感じました。

2.今回の内容について

今回の内容は以下のとおりです。

(1)教えてもらったこと

AI検査システム「メキキバイト」の他に、製造設備の予知保全に活用できる「振動大臣」について紹介していただきました。
メキキバイト
・エッジAI活用により、速い(インターネットを経由しない)、安い(小型コンピューターで処理できる)を実現している。
・サブスク型サービスとし、導入時の初期費用負担を減らし、中小企業にも導入しやすくしている。
・ソフトウェア部分だけではなく、要件定義や光学設計が重要である。AI検査システムの実現には、ハード面も重要である。
振動大臣
・熟練の職人人が感覚(耳・目・手等)や勘で判断している異常を自動で検知することにより、属人化から脱却できる。
・AIを使わず閾値を手動で設定する、正常動作を学習させることによりAIが異常発生を判定、の2つのモードで、職人のノウハウとAIを共存させる。

(2)このツールによって企業が得られるメリット

・人が目視検査していた部分を置き換えることで、人員の削減や検査時間の短縮につながる。
・サブスク型サービスで、初期投資を抑えながら生産性を向上できる。
・人のあいまいな判断を学習によりAIが判断できるようになり、属人化から脱却できる。
・AIが判断したものを数値としてデータ化できるため、収集したデータを品質管理に生かせる。

(3)導入に向けての企業の課題

・自社の製造工程で最も時間がかかるところ、人手がかかるところ、など効率化すべき箇所を抽出すること。
・その上で、AI検査ツールの導入がコスト的に適切かどうか、また品質レベルが確保できるかどうか見極めること。
・AIツール導入後の従業員の配置や役割の変更について、社内で合意形成しておくこと。

(4)中小企業診断士が支援できること

・事業者の製品の特徴や不良の種類、製品数やロットサイズなどを考慮して、センサカメラを使うのかAI検査システムを導入するのか、その選定をサポートする。
・目先の費用対効果だけでなく、従業員の労働環境や将来の従業員構成、製品の将来性など、事業者に対し新たな論点を提示したり幅広い情報の整理を行う。

3.まとめ

検査にAIを活用するにはある程度の費用がかかるため、製品の特徴や品種数、ロットサイズ等を考慮して、どの製品に活用するのか、部分的な活用とするのか、あるいはAI以外の方法が良いのか、自社にとってどのやり方が適しているのか見極めが重要。今後も進化していくであろうAI検査システムの開発動向も見ながら、各企業に最適な方法を客観的な立場から示していくことが診断士の役割だと考えます。