第37回例会では、株式会社 Fact Baseの茶谷課長から、「図面管理システム ズメーン」を紹介頂きました。

202501

皆さま、こんにちは。広報担当の中山です。
10月28日の研究会では、製造業向け図面管理システムをテーマに、株式会社ファクトベースの茶谷様より、システムの概要、主な機能、導入効果、そして実運用上の懸念点について学びました。

1.今回の個人的な感想

 今回の講演を通じて、図面管理は単なる「文書管理」ではなく、見積・品質・技術継承・トレーサビリティを支える中核的な業務基盤であると強く感じました。特に、ITリテラシーや年齢層に幅のある現場でも段階的に定着している事例は、多くの中小製造業にとって現実的かつ示唆に富む内容でした。

2.今回の内容について

それでは今回の内容は以下のとおりです。

(1)教えてもらったこと

 図面を起点に、見積書・注文書・検査成績書・加工動画・不具合写真などを拡張子を問わず一元管理するポリシーでした。
また、AIによる図番・品名・材質などの自動項目抽出や、形状を重視した類似図面検索の仕組みがありました。
紙併用を前提とした段階的DX(書き込み→印刷→タブレット→印刷レス)の進め方をしており、容量・アカウント無制限、高頻度アップデート、現地支援を含む伴走型の導入支援体制を構築していました。

(2)この技術によって企業が得られるメリット

 類似図面検索による見積業務の大幅な時間短縮が可能となります。図面と加工ノウハウ(治具写真・動画)の紐づけによる技術継承の促進が実現できます。加えて、不具合情報の一元管理による品質管理・トレーサビリティの強化につながり、属人化の解消と、現場・経営層間の情報共有の円滑化を可能とします。

(3)導入にあたっての課題

 販売管理・生産管理など他システムとの連携不足による手動対応が発生することです。AI検索精度については、実運用を通じた検証が必要となります。低価格帯での提供を前提とした場合の、営業・サポート体制の持続可能性が課題となります。
また、情報管理の高度化に伴う、守秘義務や運用ルール整備の重要性が高まっています。

(4)中小企業診断士が支援できること

 図面管理を起点とした業務プロセス全体の整理・可視化支援ができます。導入目的(見積効率化、品質管理、技術継承など)の明確化にし、現場ヒアリングを通じた段階的DXロードマップの設計は中小企業診断士として支援が可能です。
また、他システム連携や将来拡張を見据えた経営視点での助言・伴走支援が可能です。

3.まとめ

 今回の研究会では、図面管理という身近なテーマを通じて、中小製造業のDXが「現場から始まる」ものであることを改めて認識しました。
ツールそのものだけでなく、導入の進め方や現場定着の工夫に多くの学びがあり、中小企業診断士として実務に活かせる示唆の多い研究会となりました。