第31回例会では様々なAI・ITツールの活用事例やその知見について学びました

202501

こんにちは!会計担当の尾形です。
5月の月例会では、「AI・ITツールをいろいろ使ってみました」というテーマで、当研究会代表の山上和男さんに、様々なAI・ITツールの活用事例やその知見についてご講演いただきました。

1.今回の個人的な感想

今回の講演をお聞きし、AI・ITツールの進化の速さとその種類の多さに改めて驚かされました。山上さんが実際に多くのツールを試し、その使用感を確かめられている姿勢から、新しい技術に触れて自ら体験することの重要性を強く感じました。
特に中小企業の支援現場においては、単にツールを紹介するだけでなく、クライアントのITリテラシーに合わせ、実際の業務への応用まで見据えた支援が求められると痛感しました。やはり自分で使い倒してみないといけませんね!

2.今回の内容について

それでは今回の内容は以下のとおりです。

(1)紹介された主なツールとポイント

山上さんからはIアバター作成ツールから始まり、多岐にわたるAI・ITツールが紹介されました。
•HeyGen(ヘイジェン):
 o写真1枚から自分そっくりなAIアバターを作成し、テキストを読み上げさせることができるツール。
 o実際に山上さんのアバターがセミナー紹介を行うデモがあり、その手軽さと可能性に驚きました。一方で、日本語のイントネーションにはまだ改善の余地があるとのことでした。
 oSNS用の短尺動画作成やFAQ動画、研修資料など、多岐にわたる活用シーンが紹介されました。
•ChatGPT (Operator機能):
 o指示に基づいてブラウザ操作を自動化するRPAのような機能。
 o契約先の請求システムから過去1年分の請求書を自動でダウンロードするデモが行われ、その可能性の一端を垣間見ることができました。
•Gemini (ジェミニ):
 oGoogleのAIで、特にGoogle Workspace(Gmail、ドキュメント、スプレッドシート等)との連携に強みがあるとのこと。
 o業務でGoogle製品を多用している場合には、作業効率化に繋がりそうです。
•NotebookLM (ノートブックLM):
 oアップロードした資料(PDF、テキスト、YouTube動画のURLなど)の内容をAIが理解し、それに基づいて要約や質疑応答を行ってくれるツール。
 oYouTube動画の内容把握や、膨大な量の補助金公募要領から特定の情報を探し出すデモは非常に実用的だと感じました。
•ChatHub (チャットハブ):
 o複数のAI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)に同時に同じ質問を投げかけ、回答を比較できるツール。
 oAIごとの回答の傾向や得意分野を把握したり、ブレインストーミングで多様な意見を収集したりする際に有効とのことです。
•Genspark (ジェンスパーク):
 o複数のAIエージェントを組み合わせて最適な回答を生成する「Mixture-of-Agentシステム」というコンセプトのツール。
 o指示に基づいてプレゼンテーションスライドを自動生成する機能のデモがありましたが、現状では回答の品質や処理速度、生成されたスライドのPowerPointへのエクスポート品質にはまだ課題があるとのことでした。しかし、コンセプトは非常に興味深いと感じました。

(2)AIツール導入から企業が得られる可能性のあるメリット

講演全体を通して、AIツールを導入することで企業が享受できる多くの可能性が示唆されました。
•資料作成、情報収集、定型業務の自動化による大幅な業務効率化。
•人間では思いつかないようなアイデアの創出支援や、壁打ち相手としての活用。
•多言語対応コンテンツ(動画、資料など)作成の容易化による、海外展開やインバウンド対応の強化。
•研修動画やマニュアル作成の効率化と、教育コンテンツの質の均一化。

(3)AIツール活用・支援にあたっての課題/留意点

便利なAIツールですが、その活用や導入支援にあたっては、いくつかの課題や留意点があることも認識しました。
•ツールの選定: 非常に多くのツールが存在し、日々新しいものが登場するため、自社の課題や目的に合ったツールを見極める目が必要。
•情報セキュリティ: 機密情報や個人情報をAIに入力する際のリスク管理。特に、学習データとして利用されるか否かなど、各ツールのポリシー確認が重要。
•ハルシネーション(もっともらしい嘘): AIは時に誤った情報を生成するため、ファクトチェックや人間の判断が不可欠。
•ツールの品質と日本語対応: 特に海外製のツールの場合、日本語の処理能力や出力の自然さにばらつきがある。
•導入・運用コスト: 無料版と有料版の機能差、サブスクリプション費用などを考慮した費用対効果の見極め。
•社内への浸透: 新しいツールへの抵抗感を減らし、活用を促すための教育や働きかけ。

(4)中小企業診断士が支援できること

今回の講演を受け、私たち支援者が中小企業に対してAI・ITツール活用を支援できる場面が多くあると感じました。
•最新ツールの動向や基本的な使い方に関する情報提供、及びデモンストレーション。
•企業の現状の課題やニーズをヒアリングし、最適なツールの選定をサポート。
•いきなり本格導入するのではなく、一部業務での試験導入(PoC)や効果検証の計画・実行支援。
•従業員向けの基本的な使い方や情報セキュリティに関する研修の実施。
•NotebookLMで補助金資料を読み解いていたように、各種制度利用の情報収集効率化など、間接的な活用支援。
•AIが出力した情報の鵜呑みを避けるための、批判的思考の重要性の啓発。

3.まとめ

今回の月例会を通じて、目まぐるしく進化するAI・ITツールの現状、その大きな可能性、そして活用する上での課題について、非常に具体的に理解を深めることができました。 山上さんが実際に多くのツールに触れ、その経験を共有してくださったことで、単なる知識としてではなく、実践的な知見として学ぶことができたと感じています。 私自身も、今後さらに積極的にこれらのツールを試し、その知見を深め、中小企業の皆さまの課題解決に貢献できるよう努めていきたいと強く思いました。